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そしてボスはちょっと痛いぐらいに私の腕を掴んで奥のソファーの方へ引っ張って行く。
ボス、怒ってるんだ。
そりゃ怒って当然だよ、全面的に私が悪いんだから。
私はそのままソファーの上へ押し倒された。
ボスっ?!
ボスがその上へ覆いかぶさってきて、当然の流れのように私のワンピの前ボタンへ手をかけた。
「な、何するのっ?!」
「野暮な事聞くなよ。別れの名残に一発ヤっとこうってだけだ」
私はあまりの状況の激変に順応しきれず完全に思考はストップ。
ボスに対する抵抗すらするのを忘れた。
そうこうしているうち、ボスはワンピの前ボタンを全て外し前合わせを大きくはだけた。
「や――ゃ、だ……こんなのや……」
「なら本気で抵抗しなきゃ、マジでハメちゃうけど?」
そんな思いやりなどひとカケラもない言葉とは裏腹に、ボスの唇は私の反応を確かめるようゆっくり私のソレへ重なった。
「んっ――んン……」
”咲? 頼むから落ち着け……一時の激情で自分の将来を棒に振るな……”
性急なものではなく、唇の感触を存分に楽しむような甘い口付け。
何度も啄むように重ね合わされ、私が薄っすら開いた唇の間から自分の舌を滑り込ませ、私の舌と絡ませ合って次第に口付けは顔の角度を変えながら深く濃厚なものになっていく。
ボスは私の髪の毛を漉きあげるよう優しく撫で、唇を滑らせて私の首筋から胸元へ這わせ、ちょっとイタズラっぽい目つきで囁く。
「今日は張り手はなしか?」
! もうっ、柊二さんってばイジワル……。
「は、ぅっ――」
ボスは軽く触れてるだけなのに、ソコから何ともいえない心地よさが広がって体の奥が疼くみたい。
「さきのココ、えらいことになってるよ」
それどうゆう意味? って思ったけど、怖くて聞けない。
けど、ボスがソコの手を動かす度、何とも淫猥な水音がたって、私の羞恥を掻き立てる。
「や――」
私は堪らず、自由になる方の手で自分の顔を隠した。
「――あのパーティーの夜、お前がオレに聞いた事、オレが実家を出た理由、まだ、知りたいか?」
「えっ、それは……」
「男関係だ」
「! それって――」
「男と付き合ってる事が親父にバレて無理矢理留学させられた。要は体の良い厄介ばらいだな」
私は自分の顔を隠していた手をどけ、ボスの目を真っ直ぐ見つめた。
「つまり、お前のボスは男もイケるってタチなわけだ。ってか、あれ以来男相手じゃなきゃ自慢の息子がうんともすんともしねぇんだ。両親に泣きつかれて
イヤイヤ見合いで結婚はしたが、肝心のモノが勃たねぇんじゃ子作りどころじゃねぇだろ。結婚生活はたった半年で破綻したよ」
って、ホントに哀しそうに、何だか何もかも諦めたようなほほ笑みを浮かべた。
「あれ以来何つーか恋愛そのものに臆病になってな……だから、お前から告られた時はホントにびっくりしたけどそれと同じくらい嬉しかった」
柊二さん……。
「やっぱこんなセクハラ上司の下で働くのは嫌だよな」
「今さら――今さらそんな事言うの卑怯よ」
「えっ?」
「柊二さん、私が失恋して泣いてた時言ってくれたでしょ? 元気出せ、オレがずっと傍にいてやるって……あの言葉は嘘だったの?!」
「違う」
「なら、ずっと傍にいてよ」
「さき……」
「知ってる? 柊二さん」
「ん?」
「私ね……かなり前から、貴方なしじゃ生きていけなくなってるの、だから……」
「オレも、お前なしの人生なんて考えられない」
「愛してる」2人の声がハモって、その言葉を呑み込むように口付けた。
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