手痛い失敗

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 結局実咲は丸4日間寝込んだ。  大事を取って完全に熱は下がっても  週明けまでそのまま柊二の自宅で安静をとり、  職場復帰も週明けの今日からだ。 「おはようございまぁす」  オフィスへ実咲が姿を出すと、メンバー達は何故か  皆驚いたような表情で実咲を見る。  たまたま、寺沢と打ち合わせで執務室から出て来ていた  竹内も怪訝そうな顔で実咲を見ている。    「へ……?」  一方、見られてる側の実咲は、少しやつれた感が残る  ものの以前の子供子供していたベビーフェイスから幾分  幼さが抜けたような表情になり、  寝込む以前の容貌とは少々様変わりしている。  それを肝心の本人が全く気付いていないので……。 「な、何でしょう?顔、ちゃんと洗ってきたけど、  何かついてます?」 「(ノ´∀`*)イエイエ、とんでもない。ただ――病欠なさる前  より少しおやつれになった分、何となく印象がかわった  のかなと、思ったもので」  その竹内発言に合意をしめすよう、  他のメンバー達も強く頷いた。 「え~~っ、そうですかぁ~……??」  ただ顔を摘んでグニグニするだけの姿すら、  妙に艶っぽく全員が硬直した。  自分の席に着き早速始業の準備を始めた実咲を横目に、  竹内と寺沢のひそひそ話に冬木が参入。 「――けど、ボスがいなくて良かったですね」 「ああ、ここんとこ無理な禁欲が祟ってかなり苛ついてた  からな」 「あんな姿見せられたら並みの男は堪ったもんじゃないよ、  ボスのお手付きじゃなかったらトイレにでも連れ込んでる」 「そんな事より、アレ何とかしなきゃマズいんじゃないっ  すか?」 「だな……さて、どうしたもんだか……」  なにはともあれ、?日間病欠の実咲が無事復帰して  オフィスは再びフルメンバーで稼働し始めたわけだが、  その実咲がいきなりのイメージチェンジ&色香駄々漏れ状態  なので「仕事が手につかん!」と、  実咲からの影響モロ受けの男メンバー全員の切実な直訴で、  竹内はやむを得ず自分でも処理するのに2~3日は  かかりそうな報告書の清書を実咲に頼み(押し付け?)、  さらに実咲を柊二の執務室へ缶詰にした。
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