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新緑の4月。
私・米倉実咲の新年度バイト始めは全力疾走で始まった!
寿町駅中央口から、駅前のショッピングモールを突っ切って、シティーホールを右手に見ながら坂を登り3丁目交番の角を右に曲がってしばらく行くと――
私の勤める建設会社「エビスコーポレーション」が現れる。
今年一応それなりに名の通っている有名国立大学を卒業した私は、この長引く平成不況の就職難で在学中に就活した会社には何処からも内定を得る事が出来ず、郷里の母から就職しないならこっちへ戻って見合いでもしてさっさと家業を継いでくれとせっつかれたため、背に腹は代えられず在学中からアルバイトをしていた会社にそのままバイトとして勤める事にした。
心機一転、アルバイトとしての勤務第1日目。
私は自分の所属する通称”プロ企”=プロジェクト企画課のオフィスで、社員さんに頼まれたコピーをしながら、オフィスの一隅で総務課係長の山下から日常業務等の説明を受けている、今期入った新入社員達を見ていた。
明日への希望で胸いっぱいだってかぁ?
”あ~ぁ、私だって運がよけりゃあの中にいたのにぃ……”
はぁ~~っ……。
知らず知らずにため息も出てしまう。
”ほんま、こんなんでええんかなぁ……”
「どうしたのぉ?ため息なんかついちゃって」
と、やってきたのは、私がこの事務所でアルバイトを始めた時から色々面倒を見てくれている、社員の西村はるかさん。
まだ勤続3年目ながら、社長や専務にまで一目置かれている凄い人。
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