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「あ、はるかさん――」
「お茶、ごちそうさまね。やっぱさきちゃんが淹れてくれる
やつがイチバンだってみんな言ってるよ」
”うわぁ、何気に嬉しい。ありがとう、お母さん’
家業の仕事柄、人を饗(もてな)す、という事に関しては
とても厳しかった母に心のなかで感謝。
「資料室のファイルも整理してくれたのね。すごく使い易く
なってた」
見てくれる人はちゃんといるんだぁ……。
「私でも少しはお役に立ててるんですね」
「何いってるの、同年代のスタッフの中でまともな
仕事出来るのあなたくらいじゃない。それに、さきちゃんが
いつも気難しいボスの相手してくれてるから、私ら物凄く
助かってるのよ」
「アハハハ~――そうですかぁ、いやぁ……」
って、わたしゃ、人身御供かっ?!
「でも、ホント、時々あなたが羨ましくなるわ」
「えっ――」
「私なんかボスの前だと未だにあのパワーに圧倒されちゃう
けど、さきちゃんはいつも自然体だもの」
えっ、そう、かなぁ……付いて行くのが必死でそんな事に
まで気が回ってなかった。
「あぁ見えてもボスは結構寂しがりだから、これからも
仲良くしてあげてね」
「ボスが寂しがりぃ??って、面白すぎはるかさん――」
ありがとうはるかさん、何だかもうひと踏ん張り、
できそうな気がしてきました。
「あ、ところではるかさんは今度の歓迎コンパどうするん
ですか?」
「一応顔は出すけど、早々に引き上げようと思ってるわ。
さきちゃんはどうするの?」
「さぁて、どうしましょ。相変わらず私お酒飲めないし、
私なんかが出たって場をしらけさせるだけですから」
「あ~らそんな事ないわよ、ここだけの話、営業の男子達の
中にはあなたの隠れファンだって人結構いるのよ」
「え~~っ、まっさかぁ!またまたはるかさんってば人を
ノセるのが上手いんだからぁ」
「そんなに信じられないなら、試しに出てみれば?」
「えっ――」
「なんでも今年のは、秘書課・営業・プロ企、三課合同で
やるらしいからかなり盛大になるわよ」
「……」
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