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ちょっと前まで俺が住んでた部屋は、もうすっかり雰囲気が変わってて、マルとしぶやんの生活のにおいがしてた。でも、大好きだった窓からの眺めは変わってなかった。
「なんか食う?粕汁ならあるで?」
「お前またそれか!」
「ええやぁ~ん」
しぶやんにいじられつつ、マルは温めなおしたお手製粕汁を俺に渡してくれた。
お椀の温かさと二人の優しさとお味噌のええかおりが俺の五感を揺さぶって、俺は食いながらボロボロ泣いた。
マルは困った顔してた。
しぶやんは黙って俺の背中をさすってくれた。
二人が俺に何も聞かんのが、すごく有難かった。
ありがとう、マル。
ありがとう、しぶやん。
もう少しだけ、甘えさせてください。
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