だから私は酒を呑む

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なんやかんやで仕事に追われてるうちにもう式の前日になってしまった。俺と結婚する予定の人は、やれブライダルエステだやれネイルサロンだて毎日ほんまに忙しそう。その合間にウェディングドレスの試着やら、式場の料理の試食やら(これだけは俺も同席した。フツウに旨かった)、引き出物の内容のチェックやら、当日かける音楽の選定やタイミングやらホンマに確認と金に糸目をつけない。その上、式の後の二次会と新婚旅行の調整までしてはって、結婚のためになんぼ命かけとんねん、って感動すら覚える。向こうが式代半分以上出す言うてるからもう好きにしたらええねんけど。 式に参加する友達ひとりひとりにメッセージカード書いてる婚約者の横で、俺は数少ない友達に送った招待状の返信と席次を確認する。新婦より新郎の方が参加する人数多くないとカッコつかんからって、俺が呼んだん友達以外はほぼ会社の人になってしまったのがホンマに悲しかった。マルは仕事で来られへんて返事来とったけど、亮ちゃんと村上君からは参加の是非すら来てない。あの二人からの無言の攻撃を感じる。すばる君からは乱暴に〇だけつけたハガキが返送されてきた。あの人らしいけど“御”“様”は消されてへんし、俺宛の住所も“行”のまんまやった。これも無言の抵抗を感じる。横山君のは汚い字やったけど、作法はしっかりしてた。来てくれるらしい。なんかあの人、こういうとこ妙に常識人やな。嫁さん連れてきてくれへんかな。
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