午前零時

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「紙ないやんけぇ!事務のオンナ何しとんねんっ、しばくぞっ」 富士ゼ〇ックスのカラー複合機のトレーを開けて口汚く罵ってんのは同僚のすばるやった。まぁ、こんな時間やし、はよモノ出力して帰りたいのは俺もわかる。コピー用紙の在庫置いてあるん、地下の倉庫やしなぁ。しっかし、世の中ペーパーレスペーパーレス言うてるぅけど、紙めっちゃはよなくなんで。特にA4。 「すばるぅ、紙なら俺、とってくるで」 て、俺が声かけるとすばるはでっかい目をひん剥いてこっち向いた。 「アカンアカン!お前忙しいんやから!自分の仕事せぇ!」 そうは言うけどな。 「あんたやらんやろ?」 て言うたらすばるは痛いトコ突かれたみたいな顔して黙り込んでしまった。 「ウハハ!A4でええかぁ?」 申し訳なさそうな顔をするすばるの可愛いおでこを軽く小突いて、俺は地下倉庫へ。 倉庫は暗いし埃っぽいし、言うても3束も紙包み抱えたら結構な重さになるんで、女子社員に力仕事させるんは気が引けるぅけど。俺たち営業が外駆けずり回ってる日中に、こういうとこフォローしてくれてるとめっちゃ助かるのはホンマ。すばるに言わせりゃ「そういうトコ気ぃきかんから行き遅れんねん」って話。けど、そんなん言うたら逆にしばかれるで(笑)。
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