逃走のファンク

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ちゅうわけで俺は完全にヤスのヒモ状態。でもヤスはこんな俺を菩薩みたいに受け止めてくれる。今やって、ちっさい手で俺を一生懸命安心させてくれてんねん、大切に大切に。全然指の長さ足りてないけど。 こいつがこんなに優しくて、こんなに温かいなんて、近くにいすぎて麻痺してたんかも。一度手放してしまったけど、俺はこの短い指を二度と放さない。 「わぁ!離陸やって離陸やってぇ!!」 「おーくら、ウルサイ!」 当分の心配事は向こうで米が食われへんくなることくらい。しばらくは信ちゃんに米送ってもらうとして…。落ち着いたら向こうで日本料理屋さんでも出そうかな、焼き鳥屋とか(笑)。 「うわっ、ぶわってなった!やすぅ、ちんさむやちんさむや!」 「ちんさむ連呼すんなやぁ(笑)」 7月のあの暑い日に出会って、柔らかく輝く世界もあるんやって教えてくれたコイツと。 一生付き合っていこう、地の果てまで。立ち止まらないで。BPMはちょっとゆるめの117で。逃げろ、逃げろ、逃げろ。 俺たちだけのエクソダス。
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