ドサンピンブルース

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「ン」 「んっ、んあ」 「はぁ、ふ」 「ヨ、コ……あっ…」 風呂上りでお互い濡れたまんま俺たちは縺れ込んだ。ヨコはもう待てへんみたいな感じで、床に広げたバスタオルの上に俺をうつ伏せにして覆いかぶさってきた。 耳舐められたり噛まれたりしながら、体じゅう這い回るヨコの手のひらの感触をめいっぱい感じて、ああ、俺、めっちゃ抱かれてるぅ!なんて思いながらタオルから香る柔軟剤の匂いを吸い込んだ。ええ匂い。これに変えて正解やったわ。 顔から勝手に想像して、ヨコは相当エロいんやろな、て思てたんやけど、夜の営みに関しては割と人並みで、「佐幕派?倒幕派?」なんてなことは一度もない。 でも。ん?あれ、なんや?耳からワキに舌が移動してるな。 「?? ヨコ、そこワキやで」 「はじめて言うけど、俺、ヒナのワキめっちゃ好きやねん」 「あひゃっ、ハハハ、ヒャーーーッ!やめ、あ、ほ!…んっ、あぁんっ」 ワキべろべろ舐めてたかと思ったら、そのまま乳首吸い付きやがって!前言撤回、コヤツうつけ者じゃ。 泰平の眠りを覚ますみたいな深いキスのあと、耳元で「入れんで」って囁かれて一気に貫かれたら、四杯どころかたった一杯でも寝られんわ。 「ん、んん」 「ヒナ、声、聞きたい」 「あっアカンて、うぁんッ、家の壁薄いも、んっ」 「…そうやな、金稼いで、2人の家、建てよな。防音にしたらええやん」 ちょけるヨコの頭を叩いてみれば、文明開化の音はせぇへんけど、汗と柔らかい笑顔が俺の額に落ちてきた。 「次は論文控えてるし、受かっても業務補助2年せぇへんとアカンし、まだなんも始まってないけどな」 て、自嘲気味に笑うヨコの、汗だくの背中に腕回して腰に足巻き付けて、今度は俺が囁く番。 「ホンマに好きなことできるようになるまで、俺があんた食わせたるぅよ」 拙者生まれは高槻、禄は高くないが誇りは高い田舎侍。武士は食わねど高楊枝。お主に事あらばいつでも馳せ参じたい。 「なに泣いてんねんなぁ…」 切れ長のキレーな目から流れる涙を、俺は吸うた。 三両一分のこの命、お主に託し申し候事にいたすべく、えいままよ。自愛なされよ。……面を上げよ。
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