ペインキラー

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やらしい夢を見た。内容は覚えてへん。 寝ぼけ眼で隣を見れば、無防備な寝顔をさらす俺の神様。ここんとこ、色々が色々あったから、疲れたんやろなぁ。ちっさい体やし。 「寝れるうちに寝とき、お師匠さん」 この世の中はパラダイスとは言い切れへんから、夢の中だけでも俺とおんなじやらしい夢見てくれてたら嬉しなぁ。 小さくて肉の薄い手が俺の手を無意識に握ってくるから、ゆっくり握り返す。内側はちょっと汗ばんでて柔らかい。 久々に二人一緒の休みやけど、お昼までイン・ザ・フトンしてもうた。でも、たまにはこんなお休みもええやんな。 「雨、すご。」 乾いた手の甲に唇を押し付けながら視線を窓に移したら、外は豪雨。一瞬で今日は外には出ぇへんって決めた。 ビーフシチューでも煮込もうか、それとも四川風麻婆豆腐?いや、今日はやめや。ピザとってまえ。 起きる様子のない細い腕には、新しい手術の跡。目に見える傷はこれくらいしか見あたらんけど、内っかわはどれくらい傷ついてんのか、まだ教えてはくれない。たぶん、これからも。 俺があげられるのは騒音みたいな気の触れたラブコールと36.5℃。 永遠に片想いかもしらん。 でも、あなたが許してくれるなら、エグい色した生身のシグナル、いっちゃん近くから送るで。
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