ペインキラー

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* ゆうちんと信ちゃんの入籍(養子縁組やったっけ)の後、大倉の結婚式未遂の少し前。すばる君は腕の再手術のために、俺の病院に入院することになった。俺達が出会うきっかけになった腕の怪我。その時に腕に入れたボルトみたいなんを抜く手術や。一週間くらい一日一緒におれるんやって、ウッキウキで入院のための準備を手伝ってたんやけど。突然モーター音がするから俺は慌てて洗面所へ。 「すばっ、何してはるんっ?」 すばる君はバリカンで頭を丸めてた。そら、もうバリバリって。気持ちええくらいに。 「入院したら頭洗われへんやろ」 肩まで届く程伸びてた綺麗な黒髪は、無惨にも切り落とされてしまった。 「ドライシャンプーしにいきますやん~」 「あれめっちゃ嫌い」 そんな、苦虫噛み潰したような顔せんでも嫌いなんわかるよぉ。 「お前も亮みたいなこと言うんか」 あ。髪が長い時より、目力が強なったような。 「ううん。めっちゃ似合ってる。…触ってええ?」 「言う側から触ってるやんけ」 刈り上げられた頭をじょりじょりって撫で上げると、すばる君はくすぐったそうに笑った。 「明日っから一日中一緒やんなぁ」 「お前俺んトコ来んなよ」 「えっ!なんで?」 「なんでちゃうわ、仕事しろ!」 「アハハ、せやんなぁ」 すばる君の言うことはいつも正しい。お師匠さんやからな。俺はそれに従うだけやねん。 ただ、これは勘やけど。 今はそんなん言うてはるけど、すばる君、きっとしんどなる。 そんで、俺がちょっとだけ必要になんねん。 だから俺は、すぐに華奢な肩を支えられるようにスタンバってんねん。俺はすばる君の鎮痛剤みたいになもんやから。 子どもは1錠、大人は2錠。辛かったら1日3回までなら飲んでええよ。 腕に、肩に、耳に目に。歯に頭になんでも効くで。 一番効くんはハートやな。マルヤマ菌配合やから。 あ、ちゃうわ、腰に一番効くんやった(笑)。 「何ニヤニヤしてんねん、きっしょ」 「えへへ」 嫌がるすばる君を無理やり抱き込んでぎゅってして、「いつでもナースコールしてな」って言うたら、小さく頷きはった。
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