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「亮ちゃん、この予算一桁間違ってない?」
「ウソやん、バッチリやって!」
来年度の予算資料を提出したら、数字の列をもう一度確認した上司の大倉が目を見開いて「新規予算で5千万は盛りすぎやろ?」て食い気味に言うた。
「俺の見込みではそれぐらいイケんで。楽勝や」
俺のドヤ顔に大倉は含み笑いして資料を整えつつ「頼もしい部下もって俺は嬉しいわぁ。けど一ヶ月に放り込むん怖いからバラしとかん?トータルで予算達成すれば結果的にはええんやけど、毎月の実績も見られとるからさ。見込んでる案件出しといてよ。適当に分けとくから」なんて言う。
こういうとこ、むあかみ君に似てきたなぁ思て、俺はニヤニヤしてまう。
「亮ちゃん、どしたん?楽しそうやな」
「んーん。なんもないで。あ、上の階から資料とってくるけどついでになんかある?」
大倉はちょっと考えて「一番右端の缶コーヒー買うてきて」言うて俺に小銭を手渡した。俺は掌の小銭を数えて「アホか大倉。金多いで」て言うと「残りは亮ちゃんの分」て微笑む。
「これ、よかーま君の技やろ」
て俺が言うと、大倉はばれたかって顔してニヤッと笑った。
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