トナカイ、サンタに拾われる。

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「……忘れたんですか?昨日のこと」 綺麗な黒目がちの目を細め、あたしの顔を下から覗き込んでくる沖田くん。 「く、詳しくは覚えてないけど……」 自分と沖田くんの様子を見れば分かる。 大体沖田くん、……下、履いてる? 目のやり場に困って顔を逸らせば。 「目ぇ逸らさないでください」 「っ」 顎を掴まれてまた沖田くんの方を向かされた。 「……忘れたんだったら、思い出させてあげます」 「へ」 「どうせ今日は休みですし」 ニヤ、とニヒルな笑みを浮かべる沖田くん。 「え、ちょ」 「忘れたとか、許さねーかんな」 「んっ……!」 鋭く睨まれ、急に緩んだ口調に気を取られている間に、強く唇を塞がれる。 「ん……」 舌を絡め取られ、酸素が足りなくなって来る。 力の入らない身体が、再びベッドに戻された。 ――今日ほど、クリスマスが休みであることを恨んだことはない。
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