トナカイ、サンタに拾われる。

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「あ、桃はね、実家に預けてきたの」 「そっか」 ま、普通に考えてそうだよね。 こうして女2人、男1人の奇妙なちょっと遅れたクリスマス会が始まった。 サラダやピザ、ちょっとしたおつまみ系のものを頼んで、3人でシェアする。 最後にケーキを3つも頼んだ福原にはちょっと引いたけど。 美青は「いつも通りだよー」なんて呑気に笑ってて。 どこがいつも通りなんだよと思いつつ、そんな2人が羨ましいとも思う。 「あ、私お手洗い行って来るね」 美青が席を立ち、福原と2人きりになる。 「いやー、この新作ケーキ美味しいよ。大川さんも食べれば?」 「あー……、また今度にしておく……」 「そう?」 バクバクとケーキを食べ続ける福原を横目に、店内を見渡す。 「(どこもかしこも、恋人同士ばっかり……)」 もうクリスマスは終わったはずなのに。 クリスマス熱の冷めない恋人たちが、あたしに見せつけるかのように幸せな空気を醸し出している。
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