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「あーぁ、あたしも幸せになりたいわぁ……」
ため息と共に吐き出した本音。
本当に独り言と言っていいほど小さい声だったのに。
「なればいいじゃん、大川さんならすぐなれんじゃない?」
「は?」
ニヤ、と右口角だけ上げて、ニヒルに微笑む福原。
「聞こえてたの?」
「聞こえてたの」
福原は何かに納得するように、うんうんと頷く。
そんな福原に対し、今度ははっきりと大きくため息を吐き出した。
「何もかも、あんたたちみたいに上手く行くわけじゃないの。分かる?」
「は」
頬杖をついて福原を睨みつければ、うんざりした顔で福原があたしを見据える。
「俺たちだって最初っから上手く行ってたわけじゃないんだけど。むしろ最初なんてまさかここまで幸せになれるなんて思ってなかったし」
窓の外を眺めながら、視線だけこちらへ寄越す福原。
不満げな声だけど。
「アンタさ、話の内容ノロケだよ」
「あは、分かった?」
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