トナカイ、サンタに拾われる。

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色々聞きたいことはあるけれど、言葉に出来ない。 あたしに出来るのは、ただ沖田くんに着いて行くことだけ。 とあるドアの前で止まると、沖田くんがスーツのポケットから鍵を取り出して鍵穴に差し込んだ。 「どうぞ」 丁寧な口調なのに、何故か物凄い威圧感。 こくこく、と首を縦に振り、ゆっくりと玄関に足を踏み入れた。 ――瞬間。 「……ッ!?」 顎を掴まれ、無理矢理後ろを向かされた。 電気が点いてないせいでただでさえ暗い眼前がさらに暗くなり、唇に当たる感触で、沖田くんにキスされてるのだと理解する。 「ん、……」 唇の位置を確認するかのように動く沖田くんの熱い舌が、あたしの欲望を掻き立てる。 あたしいつの間に、こんなに沖田くんを受け入れてたの……。 自分でもびっくりするくらい。 「んぁ……、ん」 恥ずかしいくらいの甘い声が玄関に響きわたり、思わず沖田くんの首元にしがみつく。 と。
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