トナカイ、サンタに拾われる。

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「う、わ!?」 いきなり身体が持ち上がり、目の前が明るくなる。 「な、ちょっと沖田くんっ」 いわゆるお姫様抱っこであたしを持ち上げた沖田くんは、器用にあたしのパンプスを脱がせて玄関に落とす。 「暴れると落ちます」 「ッ」 淡々と言われ、返す言葉が見つからない。 リビングと思わしき部屋に連れていかれ、沖田くんはあたしを抱えたままソファに座る。 「ちょっと、沖田くん……」 この体勢は恥ずかしいんだけど……。 至近距離で抱きしめられるような体勢で見つめられ、心拍数が上がる。 「(何でこんなに近いんだろう……)」 あまりの近さに、咄嗟に目を逸らすと。 ピッという電子音がして、エアコンが動き出した。 「エアコン付けただけですけど」 「……ッ」 からかうような沖田くんの笑顔に、違う意味で心拍数が上がる。 「も、もう……!」 「期待しました?」 ニタニタと笑う沖田くんの胸を軽くパンチする。
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