トナカイ、サンタに拾われる。

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「な、な……」 「ほら、早く……」 あたしが言葉に詰まっている間にも、愛撫の手は止まらず。 息も絶え絶えになりながら、身体を支えようと沖田くんにしがみつく。 「……早くしねーと、終わんねーよ?彼氏にバレたらどーすんの?」 「……っ、あ」 だから違うんだって……! 反論したいけど、急に崩れた口調にまた、胸が締め付けられる。 もう沖田くんが分からない。 あたしを抱いておきながら、嫉妬するような素振りを見せておきながら、彼氏の存在を示唆する。 どうしてあの時、あたしを拾ってくれたの? 何であのファミレスからあたしを連れ出したの? ……あたしのこと、どう思ってるの? 沖田くんが分からない。 でも、それと同じくらい。 「(何であたし、こんなに……)」 沖田くんを受け入れてるんだろ? 荒くなる息、遠のく意識。 その中で、余裕のなさそうな沖田くんの顔を見つめながら思った。 ――“終わらないで” “止めないで”と言ったら、沖田くんはどうしただろう?
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