トナカイ、サンタに拾われる。

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* * * 時は過ぎて、お正月。 実家は近所だから、初詣のついでに一応顔を出してきた。 翌日から正月休みになってしまって、あの日以来、沖田くんとは会ってない。 結局沖田くんの気持ちも、自分の気持ちも分からないまま。 モヤモヤしたまま、年を越してしまって。 あぁ、また歳を取る……。 そんなことを考えながら、今いるのは近所に出来たばっかりのショッピングモール。 家にこもりっぱなしは良くないかと思って、自分にムチ打って外に出た。 福袋でも、なんかいいのあったら買おっかな……。 息苦しいくらいの人込みをかき分けながら、専門店街の福袋を物色する。 けど、人が多すぎて全然見れてない。 ホントに、人を見に来てるみたいだよ……。 押されたり引っ張られたりしながら人混みを進んでいくと。 「(……あ)」 ドク、と大きな音を立てる心臓。 何で見つけたのかな、あたし。 こんなにいっぱいいる人の中で、そこだけくっきり鮮やかに見える。
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