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「これ以上あたしの気持ちを乱さないで、いい大人をからかわないでよ……!」
目頭が熱くなり、じわりと視界が滲む。
うう、何で泣きそうになってんの……!
「……」
沖田くんは相変わらず黙ったままで、あたしたちの間には気まずい空気が流れる。
と。
「……もう、知りませんからね」
「へ」
ガッと手首を掴まれ、また沖田くんに引っ張られる形になる。
少し歩かされて、着いたのは。
「ここ……」
見覚えのある公園。
そう、あたしがクリスマス・イブに泥酔していた公園。
「……入社してからずっと、ずっと見ていました」
ボソッと沖田くんが呟いた。
「センパイに彼氏がいることも、俺の気持ちは届かないってことも、全て理解したうえでセンパイをずっと想っていました。良かったんです、センパイに想いが届かなくても……その時は」
「沖田くん……」
俯いたまま、何かを吐き出す様に話を続ける沖田くん。
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