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* * *
あの日――、クリスマス・イブ。
この公園で、センパイを見かけた日。
横切るとマンションが近いから、という理由でいつも通っていたこの公園。
「あーぁ!どうすれば幸せになれんのよーっ!?」
いつもは静かなこの空間に、突然響いた声に驚き肩が跳ね上がる。
こんな日に何を叫んでいるんだ、と呆れつつそちらを振り返ると。
「あたしも結婚したーい!」
「……ッ!?」
ベンチに仰向けに寝転がり、陽気に叫んでいるセンパイがいた。
手にはビールの缶が握られていて、酔っているのだと理解する。
他人なら無視するところだけど。
知り合い、かつ自分の想い人なら声をかけない訳にはいかない。
しかもこんなとこで騒いで、誰かに襲われたらどうするんだよ……!
苛立ちを隠さず舌打ちし、センパイの元へと足を進める。
と。
「はぁ……」
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