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陽気な声から一転、鉛のように重たいため息を吐き出すセンパイ。
「あーぁ……。あたしも、そこまで想い合える相手が欲しいよぉ……」
「っ」
その言葉に、一瞬足が止まった。
「(……おかしいな)」
センパイには彼氏がいたはずだ。
想い合える相手はいるはず……。
そう思いつつ、期待せざるを得ない。
「(まさかセンパイ……)」
彼氏と、別れた?
そして俺の行動を決定したのは、この言葉だった。
「あー……、誰かあたしのこと拾ってくんないかなー……」
これを聞いた瞬間、予想が確信に変わって。
「俺が拾ってあげましょうか?」
「へ……」
声が上擦らないように、努めて冷静を保って、センパイに声をかけた。
急に現れた俺に驚いているのか、呆然とした表情を見せるセンパイ。
街灯に照らされた上気した顔。
アルコールのせいか、とろんとした瞳。
全てが俺の欲望をこじ開ける。
「俺が、心から想い合える相手になってあげます」
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