トナカイ、サンタに拾われる。

35/39
前へ
/41ページ
次へ
* * * 「……最低なのはよく分かってます。彼氏と別れて弱ってるところに付け込んでセンパイを抱いたこと、卑怯だって分かってます。 でも、それでもセンパイが欲しかったんです……!」 「……っ」 俯いて唸る沖田くんの声に、胸が締め付けられる。 「彼氏でもなんでもないのに、センパイが他の男と一緒にいるとムカつくんです!今だってそうです、センパイが他の男と話してるのを見たら居ても立っても居られなくなって……!」 恥ずかしいのか、耳を赤くして、前髪をクシャリとかき上げる沖田くん。 その表情がこんなに愛おしいのは――どうして? 「センパイ、俺のことどう思ってますか?ただの後輩ですか?ただのセフレですか? ……なんでもいいので、はっきりした返事、下さい」 ――初めてだ。 こんなに一生懸命求められたのは。 鼻の奥がツンとして、身体が熱くなる。 あたし、沖田くんのこと――……。 でもその前に、はっきりさせておかなきゃならないことがある。
/41ページ

最初のコメントを投稿しよう!

308人が本棚に入れています
本棚に追加