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そのギャップに胸が締め付けられ、目元が熱くなる。
ピタ、と動きを止めた沖田くんに、今度はあたしから近づく。
「……沖田くんを見ると胸が痛いの」
あと少しで抱き着いてしまえる。
そんな距離で足を止める。
「沖田くんのこともっと知りたいし、もっと欲しいって思う」
顔を上げると、あたしを見下ろす沖田くんと目が合う。
何かを懇願するように唇を噛みしめる沖田くんの目を見て続ける。
「でも……分かんない」
「……え?」
あたしの結論に、沖田くんは素っ頓狂な声を上げた。
「わ、分かんないって……どういう事です、か?」
「どういう事って、そういう事よ!」
頭を抱える沖田くんに、噛みつくように訴える。
訳もわからず顔が熱い。
「分かんない、これを恋って言っていいのか……。でも沖田くんのこともっと知りたいって、もっと欲しいって思うの……!」
「……センパイ」
「ッ」
両頬を沖田くんの両手で包まれ、そっと持ち上げられる。
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