トナカイ、サンタに拾われる。

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『……』 呆然とその場に立ち尽くしてみたものの、何か変わるわけじゃない。 でも何かしたいわけでも、どこか行くところがあるわけでもない。 『……はぁ』 アパートに帰ればいいんだって分かってる。 でも、フラれたあとに真っ暗で冷たい部屋に帰るのは嫌だった。 『(酒だ、酒)』 上手く働かない頭が、全てを忘れ去りたいとアルコールを求める。 本当なら美青を誘いたかった。 美青っていうのは高校の時からの親友。 高校、大学と一緒で、働き始めた今でも時々会ってる。 ……と言っても、美青が結婚して子どもが出来てからあんまり会えてないんだけど。 よく考えたら、2人目を妊娠してて酒ダメだったんだっけ。 仕方なくコンビニへと足を向かわせ、適当に何本かビールと酎ハイとを買い占めた。 行く当てもなく、ちらほら雪の舞う大通りをただ歩く。
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