トナカイ、サンタに拾われる。

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眩しく輝くイルミネーション。 ついさっきまでは綺麗だったのに、今はただ目障りでしかない。 フラフラ彷徨っていれば、ふと目に入った小さな公園。 『(こんなとこに、公園なんてあったんだ……)』 よく手入れされた花壇がオレンジ色の電燈に照らされている。 何個かベンチが置いてあって、そのベンチにも光が当たっていた。 『(ここなら……)』 寂しい気持ちにならなそう、だな。 吸い寄せられるように入口の近くにあったベンチの雪を払いのけて腰掛け、ビールをビニール袋から取り出した。 ――そして数十分後。 「あーぁ!どうすれば幸せになれんのよーっ!?」 すっかり出来上がったあたしは、ベンチに横たわり、飲み終わった缶を地面に並べていた。 「あたしも結婚したーい!」 周囲に誰もいないのをいいことに、好き勝手叫ぶ。
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