トナカイ、サンタに拾われる。

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「はぁ……」 空回りの元気が、自分で見ていて痛い。 寒い。 身体も、心も。 「あーぁ……」 こんなこと言いたくないけど。 美青が羨ましい。 美青は高校2年の終わりからずっと付き合ってきた、福原 翠っていうのと結婚した。 1回、別れたとかなんとかでゴダゴダはあったけど、よくまぁここまで一途にお互いを想って来れたなって、本当に感心する。 あたしはと言えば、これといって長続きした恋愛がない。 半年持ったのが今までで最長かもしれない。 「あたしも、そこまで想い合える相手が欲しいよぉ……」 身を寄せ合える相手はおろか、心を寄せ合える相手なんて見つかるのかな……。 目頭が熱くなって、視界がぼやけ始める。 やば……、今頃悔しくなって来た……。 「あー……、誰かあたしのこと拾ってくんないかなー……」 ベンチに仰向けに寝転がり、腕を目の上にのせた時だった。
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