第2章

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「はい、また来ます!」 お釣を受け取り、笑顔で店を出る。 外に出た途端アスファルトを照りつける、 夏の熱い日差し。 空を見上げたことで、 くらっと目眩がしそうになったその瞬間。 ピロリン、と メッセージが届いたことを知らせる電子音。 手には財布と携帯しか持っていなかったから、そのまま画面に視線を落とす。 表示されている名前を確認し、 画面を消した。 心か、はたまた自分の体温か。 すーっと冷えてゆくのを感じる。 「光、早く行くよー」 先を行く奈々の声に視線を戻し、 笑顔を貼り付け、 「わ、奈々ってば置いてかないでよー!」 遅くれるーと笑いながら ふたりで駆けた。
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