第3章

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「わんわんっ」 小太郎の声ではっと我にかえる。 ドアに向かって尻尾を振る小太郎。 おそらく外にいるであろう悠人の気配を感じ取ったのだろう。 案の定、数秒して 家のインターホンが鳴った。 私は邪念を振り払うように首を振り、 ぱんぱんと頬を叩いて気合いを入れた。 「はーい」 ドアを開けるともちろんそこには悠人の姿。 仕事帰りだったのか、スーツ姿のままだった。 「え、もしかして仕事帰り?連絡くれたら私ひとりで行ったのに…」 「ばーか、夜に女ひとりなんて危ないって」 「いやでも、仕事で疲れてるのに。しかも、うちの犬なわけだし…」 「ほんとに疲れてる時は言うから。小太郎の散歩、今の俺の癒しタイムだから、奪わないでくれる?」 「…普通そういうのは彼女に求めるもんでしょ。しかも小太郎、雄だし」 「………うるせぇな。ほら小太郎行くぞ」 私からリードを奪い取ると すたすたと歩き始めてしまう。 慌てて悠人の後を追った。
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