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そして、ニヤリと笑うと、阿保は「まさか…」と、嫌な予感に冷や汗を流した。
「言ったよな?傷一つ負わずにいたら、考えてやってもいいって」
「これくらい、許容範囲じゃないですかー。傷のうちになんて入りませんよー」
「傷は傷だ、ど阿保」
因みに、俺は無傷だ。
実力の差を思い知れ、阿保が。
背が高けりゃ、強いと思うなよ、ど阿保。
「ズルいですよ、先輩。詐欺じゃないですか、詐欺。オレオレ詐欺ですよ、それ」
「知ってる単語並べりゃいいと思うな、大馬鹿野郎。どこが、オレオレ詐欺だ。ニュース見やがれ。新聞読みやがれ、この阿保」
机から身体を離して、出口へと向かう。
すると、納得出来ないとばかりに、阿保がブーブーと文句をたれる。
「おら、行くぞ。さっさとしねぇと、置いてくかんな」
「そんなー!せんぱーい!」
情けない声を出す奴に、出入り口で立ち止まって振り返る。
「さっさと来いっつってんだろうが。ホワイトクリスマスとやらをやるんじゃねえのかよ」
そう言った俺を、奴は「へ?」と、間抜けな顔で見た。
「ケーキとシャンパン買うんだろ?早くしねえと、店が閉まるぞ」
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