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「仏教徒だから興味ない」
「でも、クリスマス会くらいはしたでしょう?」
聞かれて、昔の事を思い出した。
大勢の子供がはしゃぐ中、一人馴染めなかった自分……。
「………覚えてねえよ、そんな大昔」
用意された、ケーキや食べ物。
飾り付けされた部屋。
サンタクロースの格好をした、施設長のジイさん。
そのどれもが、作り物のように思えて、気持ち悪かった。
昔から、クリスマスには、ろくな事がなかった。
寧ろ、嫌いな日といっても過言じゃない。
一年で、周囲から憐れみの目で見られる日。
親がいない俺達は、サンタクロースが来なくて可哀想……なんてくだらない目で見られる日だった。
「それに、俺らがホワイトクリスマスって柄かよ?超絶似合わねぇし」
せせら笑うと、「夢も希望もない」と、文句を言われたが、知るか。
「ドブネズミはドブネズミらしく、裏社会を這いずり回ってりゃいいんだよ。一般人と同じように振る舞うなんざ、滑稽すぎて笑える。んなもん、夢だ夢。くっだらねぇ」
「いいじゃないですか。だってホワイトクリスマスですよ?生クリームたっぷりのケーキ、シャンパン、チキンにクリスマスキャンドル。想像しただけで、ウキウキしません?」
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