言葉もいらないほどの、

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自分の性癖が、周りとは違うなんてことには、成長していくにつれ気付いてはいた。 中学の時、初めて告白をされて付き合った彼女に、俺の自身は反応を示さず、結局それが原因で別れて。 その後に付き合った何人もが、全部駄目だった。 “女を抱けない" そんな自分に気がついて、それと同時に、男に気をもっている自分にも気がついた。 それが、“周りとは違う"という疎外感で俺をいっぱいにした。 そんな時だ。 晴己さんと俺は、出会った。 ーーーーーーーーーーーーー ーーーーーーーー ーーー……… ………… 「マティーニください。」 ただなんとなく、そういう気分だったから、俺は1人で適当に見つけたBARに入った。 席も適当にカウンターに座った。 それから、なんとなく店内を見回す。別に特別気になったというわけではないけど、俺の二つ空けて左隣に座っていた客が、飲みかけのカクテルをそのままに、カウンターに突っ伏している姿が目に止まった。 酔っているんだろうか。 いや、でもBARで潰れるほど飲む人っているのか? しかもまだ、9時にもなってないのに。 「お待たせいたしました。マティーニです。」 「……どうも。」 飲みながら、俺は終始その人が気になって仕方がなかった。
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