Gに捧げる犯罪

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 「捜査に一般人を巻き込みたくはないけど、今回だけは特別よ。私達のルールに従ってね」  凛子は土手川の説得に押されて渋々同行を許可した。  「じゃあ、覚えてる限りで良いから誰をキャスティングしたのか教えてくれる?」  「役柄も必要?」  「判る範囲で構わないわよ。あなたの場合、通行人AとかBとかも書きそうだから」  凛子は土手川に書類を裏返しにして差し出した。土手川はサラサラと自分がキャスティングした人物と役柄を紙面に記し始める。  「何か筆跡鑑定されてるみたいだ」  そう言いながら土手川が紙面に書いた人物は、 荒川功…敏腕カメラマン。 恋文子…ゴシップ誌編集。 松江尚…私立探偵助手。 吉良七夜…私立探偵。 奥村さな…敏腕弁護士。 有栖川小百合…高級ホテル女将。 山本菜槻…同ホテル若女将。 GKON…映画監督。カンヌ映画祭で優秀賞受賞。 永久とわ…ハリウッド女優。アクション担当。 マチルダ…同社女優。オスカー賞受賞。 関谷れい…同社女優。ホラー担当。 寸木和也…警視庁捜査一課刑事。 日向結羽…アーティスト。画廊複数所有。  「……あの全部が全部書かなくて良いんだけど」  凛子は止めようしたが土手川は止まらない。 九龍凛子…警視庁捜査一課美人刑事。 丘野咲…同庁刑事。  「あの私達までキャスティングに含まれてる…の?」  その言葉に土手川の手は漸く止まる。
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