Gに捧げる犯罪

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 「一番上から順々に調べていくと、15人目が出るわね、方法は、あなたの作品を読んだ方が早そうだけど」  リスト外、若しくはリスト者の身内にチョイ役かあけすけな役で描かれた人物がいるかも知れない。 探し出すのは本の中から探した方がてっとり早い。凛子はそう思った。  「書斎にあるの持って来ようか?」  「そうして貰えると助かるわ」  「じゃあ明日。荒川君、行こうか」土手川がパイプ椅子から立ち上がると、  「土手川さん一つお願いがあるんだけど」  龍華がドアの前に立った土手川を引き止める。ノブに手をかけた儘土手川は荒川と龍華に向き直り「何かあるん」と訊ねた。  「クラブでの出来事を書くなら可愛く格好よくお願いね」  執筆のオファーだった。  「『麻薬の売人を探す美人刑事がクラブでダンサーに紛争して潜入捜査する』話ね。了解」  「一人一人に活躍の場を設けて下さい」  「主役で出る人は、大抵格好良いし、活躍はガシガシしてるよ。まあ待ちんさいね」  今度こそノブを回そうとすると、  「最後にこれは警察として言わせて貰うけど、警視庁のイメージを崩すような描写はNGよ」
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