Gに捧げる犯罪

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 凛子を始めとする丘野と我妻の九龍班はフロアの西側、中央、東側のテーブルで土手川の動きに対処出来るように待機している。 時より言い寄って来る男達を相手にしながら、龍華からの発見の合図を待つ。  やがて龍華がステージのセンターに立つと曲のリズムに溶け込むように、踊り出した。 ジムに、ヨガスタジオで養われたしなやか且つ柔軟に仕上がった龍華の肢体と激しく時に緩やかに揺れる踊りに、忽ちクラブ客の目は釘付けになる。 ポールに足を絡ませて優雅に状態を揺らす。フロアの全体に目を配らせながら、上体を屈ませたり、起こしたり、脚線美を強調したり、一回転したり、 不意に龍華の目があるポイントに留まった。ポーカー台で数名の男が何やら騒がしく口論している。  「凛子、いたわ。彼よ」  ダンスを続けながら、龍華は合図を送る。  凛子はとっさに龍華に目をやると、フロア西寄りに顔を向けている。数名の男達が口論しているポイントだ。 静かに頷くと「失礼」と言って席を立つとパーティードレスを靡かせながら凛子は土手川のテーブルへ向かう。
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