Gに捧げる犯罪

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 「君、誰か殺したの?」  荒川は『殺人』の言葉に目を丸くして土手川を見た。同時にクラブ客の大勢が、驚嘆、驚愕、恐怖、戦慄、動揺の眼差しを土手川に集中させる。体に書かれたサインと番号は標的にする為だったのかと女性店員達はその箇所を見るが、  「『殺した』と言われると確かにそうかも知れんがあくまで小説の中でよね刑事の姉や」  「真面目に答えなさい! 人が死んでるのよ。あなたが書いたサインを持った人が、14人もね」  凛子は土手川の顔をポーカーテーブルに叩きつけると、掴んだ手首を捻る。  「痛いです。殺人はしてません。痛いから放して下さい刑事の姉や」  殺人した記憶がないのにどうして僕がと思いながら土手川はとほほと半泣きになる。  「それは署でたっぷりと伺うから覚悟するのね。因みに私一応警部なんだけど」  「すんません警部の姉や…」
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