Gに捧げる犯罪

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        【2】  「君は仕方ないとして、どうして僕まで連行されなきゃならないんだ」  取り調べ室で待たされている間、荒川は広いディスクで頬杖をつきながら土手川に訊ねた。  「恐らく関係者だからじゃろう」  そしてこの会話もガラス越しに凛子達に聞かれている。あるいはモニターで見られている。自分が嘘の表情や証言をしていないかを確かめる為、この後、凛子や龍華、あるいは我妻刑事がやって来て激しく言質して来るんだろう。 書き慣れた光景を一瞥して、この場面は退屈なんだよなぁと土手川は思った。  「さてと、聞きたい事は山程あるんだけど」  凛子は封筒を両手に抱えながら取り調べにやって来た。  「この人に見覚えがあるかって所から聞くんかな?」  土手川は凛子の封筒を見ながら言った。聞かれる前に言われて何だか調子狂うんだけど……そう思いながら、凛子はパイプ椅子に座ると質問を始める。  「そうよ。見覚えは無いかしら?」  封筒から14枚の写真を取り出し、ディスクの上に滑らせる。  「ふむ。見覚えはあるが関係は無いと言えるかな。新作祝賀会でサインしたのは覚えとるが、プライベートな関係までの発展は無い。あわよくばデートしたいな、とは思うがね」  土手川は14枚の写真を見ながらそう言うが、動きがピタリと止まった。それを見逃さなかった凛子は賺さず言質を続ける。  「本当に?」  「ほんまよね警部の姉や。それよりこの子らって、僕のファンじゃないかい?僕のファンを14人も殺めるなんて」
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