第3章

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鼻がムズムズする…。 そんな感覚で目が覚めた。 視線を落とすと、俺の腕の中には無防備にスヤスヤ眠る優姫の寝顔。 俺の鼻にかかっていた優姫の髪をゆっくりと払い、優姫の頬にかかる髪をそっと耳にかけてやる。 爆睡してんのか、身じろぎひとつしやしねぇ。 昨日は電話のあと、必死で俺のご機嫌取りしやがって。 本当はそこまで腹立ててなかったんだけど。 めちゃくちゃ焦って、小動物みてぇにペタペタくっついてくる優姫を見てたら、妙に意地悪したくなった。 まぁ、不愉快になったのは間違いねぇんだし。 それくらいはいいじゃねぇか。 今までだって二人の時間に水刺すようなタイミングで、クライアントから電話がかかってくる事くらいあった。 クライアントの大半は男な訳だし。 いつもならイチイチ腹なんて立たねぇのに。
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