第3章

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優姫の顔や対応を見て、なんとなくわかった。 今回のクライアントは若い男で、しかもコイツに惚れやがったということが。 優姫は絶対に仕事関係の人間にプライベートの話はしねぇ。 きっちりラインを引いている女だ。 皆そんな姿勢も納得の上で、優姫の仕事を全面的に信用している。 けど、昨日お相手は違ったようだ。 電話の主は、何とかプライベートな話を打ち切ろうと必死になっているコイツに負けじと、色んなことを聞き出そうと足掻いてやがった。 思わず…。 電話口で優姫の名前でも呼んでやろうかと思ったほど。 俺の存在が相手に知れれば、十分な牽制になるだろう。 正直、俺のモヤモヤも晴れるというもの。 けれど優姫はそれを好まない。 だから思い留まったんだ。 多少不機嫌になるくらい、許せよな。
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