第3章

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優姫はいつも8時には家を出る。 鞄の中のチェックを済ますと優姫は俺にいつも通りにキスをする。 「じゃ、行ってきます。」 「おう。気をつけてな。」 これが俺達の朝の日課。 昨日のことはお互いに無かった事になり、すっかりいつもの日常の始まり。 アイツが出勤してしまえば俺も完全に仕事モードになるわけで。 9時前にはスタッフ達が出勤して来る。 最初に出勤するのは決まってスー・シェフの徹平。 男の俺でも目を見張るほど綺麗な顔をしている徹平は、クールで毒舌で無表情な男だけど、俺はコイツとでなけりゃ料理は作れないと思うほど信頼している。 遅れること15分、パティシエの龍司が出勤。 体育会系の肉体派イケメンな龍司は、一言で言えば品がねぇ。 口は悪ぃし態度はデケェし性格もひん曲がってる。 けど仲間には無駄にアツイ男で、こんな性格からは想像ができないほど繊細でアクティブな最高のデザートを手掛けるのだから手放せねぇ。
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