第1章

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パタパタと段取り良く用意を進めて、キッチンへと急ぐ。 朝ご飯の支度は私の役割だ。 昼と夜はお店の賄いを食べている和希にとって、朝ご飯だけが私の手料理を食べる唯一の時。 とは言っても朝ご飯だし。 そんなに気合の入ったものを作るわけでもない。 あえて言えば、和食と洋食を交互に作るのだけが私の拘わりだ。 特に和食には力を入れている。 だって賄いは殆ど洋食なのだから。 それに洋食で和希に美味しいと思ってもらおうなんて、恐れ多くてできやしないし。 ま、和食だってきっと和希が作った方が数倍美味しいに決まってるが。 けれど和希は私が家にいる時は、一切の炊事をしない。 これは仕事でやっているから家ではしないというわけではなく、恋人としての私の立場を気遣っての事。
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