第1章

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茹ですぎたアスパラはマズイ。 和希の眉間のシワが脳裏を過ぎり、何とか失敗の証拠隠滅を図ろうと試みる。 「あ、そうだ。」 冷蔵庫から牛乳と生クリームを取り出してアスパラと一緒にミキサーへ投入。 顆粒のコンソメと塩コショウで味を整えれば、アスパラの冷製スープの完成。 全てをダイニングテーブルに運び終わった頃に、のんびりと和希がやって来た。 「あ、よかった。ちょうど呼びに行こうかと思ってた所よ。」 「おー。だと思った。」 和希は自分の指定席に座ってテーブルの上に並んだ朝食を眺めると、ニヤリと意地悪そうに笑った。 この意地悪な笑顔も相変わらず。 そしてその笑顔にときめく私も相変わらずだ。
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