第1章

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毎朝繰り広げられる日常の光景が、毎朝新鮮に感じるのは、きっと毎朝の和希の言葉のせい。 何気ない当たり前の言葉が幸せの呪文なんだって、和希と一緒に暮らすようになって初めて知った。 『好き』とか『愛してる』とか。 そんな甘い言葉なんて、そう簡単には口にしてくれないけど。 そんな言葉よりも『おはよう』『おやすみ』『行ってきます』『ただいま』こんな言葉が最上級の愛の言葉に感じる。 けれど私は慢心してたんだ。 日常に染まりすぎて。 これがずっと続いていくものなんだと簡単に考えてた。 愛は。 幸せは。 お互い想いあって伝え合わなければ形にならないのに。 『当たり前』なんて…。 思っちゃいけなかったのに…。
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