1人が本棚に入れています
本棚に追加
英人は怒りでわなわな震えているが、まったく臆する様子のない多聞。
「というか、いつまで先輩と呼ぶ気でいるんだね君は。もうボクは君の先輩ではないんだぞ。ボクは立派な刑事だ。君は喫茶店の手伝い。もう先輩後輩の上下関係ではないのだぞ」
「まぁ確かに。言ってることはわからないでもないですが、立派な刑事がどうして真っ昼間から喫茶店でのんびり大盛クリームオンプリンチョコソースがけなんか食ってるんですか」
「うるさい、今はそういう話をしているんじゃない。そうだった、クリームオンプリンチョコソースがけはまだか」
「え。あ、大変。チョコソースが切れてたみたいだ」
「何っ。早急に買ってくるんだ!」
「何してるの二人とも……」
「これ多聞。お前はまた料理を食べやがって。急いで作り直すんだ!」
祖父が一喝すると、多聞はやや縮み上がり、やれやれというように厨房にすごすごと戻っていく。
「あれ。チョコソースが切れてたんじゃなかったのか」
璃世の兄は哀れだった。というより馬鹿だった。
最初のコメントを投稿しよう!