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「すいませーん。そこの髪モッサリ来てくださーい」
「ちょっおまっ髪モッサリはねえだろ」
彼女の不躾な言動に、彼氏が笑いながらツッコんだ。
「髪モッサリって誰のことですかね」
「君だろ、多聞君」
「まじっすか。これでもすっきりしてるつもりなんですけどねぇ……」
ブツブツ言いながら多聞はカップルの所に注文を取りに行った。
「ご注文お決まりですか」
「えっとぉ、あたしはこの“ダイモリクリームオンプリンチョコソースがけ”でぇ、あっちーが“イタリアン風モッサリ焼きそば”でぇっす」
「“大盛クリームオンプリンチョコソースがけ”と“イタリアン風モリモリ焼きそば”でよろしいですね。えっと、そこの方の注文は……」
多聞はさりげなく女子高生の間違いを指摘した。
多聞は影のように縮こまっている少女のことを言ったのだが、そのとたんガングロ女子高生が一瞬無表情になったのち、また笑顔になって言った。
「やだぁ、髪モッサリ冗談やめてよぉ~」
「いえ、冗談じゃなくてそこに」
するとみるみるうちにガングロの表情が青ざめていった。
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