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お昼休みになり、私は携帯を片手に会社の外へ出た
うだるような暑さと強すぎる日差しのせいで、最近会社の近くの公園でお弁当を食べている人は少なくなってきた
だけど、私は周囲に誰もいないか確認するまで安心できなかった
そして、誰も居ないことを確認し
携帯を開く
アドレス帳にある大切な名前
私は祈る気持ちで通話ボタンをおし、耳に当てたが
『おかけになった番号は現在電源が入っていないか電波の…』
聞こえてくるのは、もう飽きるほど聞いた無機質な声
いつもいつも、私の気持ちなどお構いなしに淡々流れてくる声
まるで人をバカにしているように聞こえ何度も携帯を地面に叩きつけてやろうと思ったが
「ダメ……こんな事したら、久世君を助ける事ができない」
今、久世君と私が繋がっていられるのは
この小さな携帯だけ
「早く、早く、あなたに会いたい」
携帯を抱きしめながら、私は泣いた
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