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学生時代の頃から、雨の日にはテンションが上がるタイプだった
だから高校時代、台風で午後の授業が
無くなり不安がる同級生とは違って
興奮していたのを覚えている
勿論、帰れって言っていた教師の言葉なんて聞かなかった
ずっと隠れて校内に残っていた
生徒が誰も居ないってだけでいつもの景色が変わった
もともと、俺が通っていた学校は
所謂、ミッションスクールであり
不思議な雰囲気が漂っていた
白い制服には十字架がデザインされていて、校内には教会が設置されてあった
週一に、朝のホームルームの代わりに全校生徒で聖書を読んだ
俺はこの時間だけは
いつも反抗的な態度をとった
神様なんて、誰も見たこと無いのに
それに本当に居るのかどうかもわからない不確かな存在を信じ、すがる時間より俺にとってあいつと一緒に居る方が何倍も救われる気がした
たった一人の大切な友達
低めな声は大人な風格があって、あいつ紡ぎ出す言葉は気難しい俺を簡単に説得する力があった
俺より背が高く、一回り大きな手のひらで手を握られると自分はちゃんと生きているんだと感じる事ができた
辛い事があっても、あいつの顔を見るとまた頑張れる気がしたのに
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