逆さまの十字架

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アパートの鍵を開けると、目の前に広がる殺風景な室内 必要最低限の家具しか置いていない 広い部屋を借りたくせに、もったない使い方をしていると、一度友人に言われた事があったが 「ただいま。一人にさせてごめんね」 部屋の隅にうずくまっている 鎖に繋がれた『ペット』 彼のおかげで、俺のモノクロだった生活が鮮やかになり、広い部屋で互いに不自由なく生活する事ができた 『ペット』に近づき、寝癖で跳ねている頭を撫でる 1日の終わりに『ペット』を撫でると、体に蓄積した疲れが消えていく だから、毎日俺は帰ってすぐ『ペット』 を愛玩するのだが、 『ペット』は時々、俺に触られるのが嫌いで、そっと俺の手から身をよじったり酷いときには噛みついてまで拒絶をしてくる 手を払われ、噛みつかれる 俺だってそんな事をされたら傷つくが 「へぇ、俺にそんな事しても良いんだっけ?」 最近では、反抗的な『ペット』にお仕置きするのが楽しくてついつい、俺も好戦的な態度を取ってしまう すると、小さな体を震わせる『ペット』 別に、怒って言ったわけでもなく、怖がらせたつもりでも無かったのに…… 『ペット』の誤解を解くために、笑顔で怯えている体を抱きしめてやった 伝わる『ペット』の体温の温もりとジャラジャラと床にこすれる鎖の音が、 俺の中にある『ペット』に対する愛情を 増幅させ 俺は『ペット』にキスをした 触れるだけのキスにしようかと思ったが、唇を重ねるとそんな我慢は利かなくなり 舌を『ペット』の堅く閉じた唇にねじ込み、『ペット』の口内を隅々まで犯した 俺の舌を押し出そうとする『ペット』の舌 絡まれば絡まるほど、俺は自分を抑えなくなるのだが   「俺が居ない間、何も食べなかったのか?」 俺の口内に広がる、しょっぱいのと苦い味に自分から唇を離した それが、精液の味だと知ったのはつい最近の事
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