逆さまの十字架

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『ペット』の動く喉を確認しながら 林檎がなくなるまでその動作を繰り返していると 「いい加減にしろよ… いつまで俺を閉じ込めているつもりだ」 胸元に感じる衝撃と共に、『ペット』 憎悪と嗚咽混じりの声が聞こえた 今晩は機嫌が悪いらしい だったら、夜中に散歩させるのを中止しなければならない そうしないと、『ペット』に変な魔が差し俺の元から逃げてしまう 「なあ、頼むよ。もう解放してくれ このことは誰にも言わないから」 全く、機嫌が悪いときはすぐにおかしな事ばかり口にする『ペット』だ あっ、まさかそう言って俺の気を引いているのか? 昼間一人でいたぶん、俺にかまって欲しくてわざと俺を困らせる事を言っているのか? 「何言ってんだ? ペットが俺許可なしに外に出られるわけが無いだろ」 小さく震える『ペット』が愛おしくて 強く抱きしめた そんな変な小細工をしなくても 俺はお前しか愛さないのに   「ほら、おいで 一緒に寝るか」 鳴き声を上げる『ペット』を抱きしめながら、床に寝転ぶ 「愛してるよ、かわいい俺の隼人」 毛並みの良い、頭を撫でながら まぶたを閉じる 愛おしい『ペット』の体を抱きしめながら眠ると、外の地面を叩く雨音さえ苦にはならなかった
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