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昨夜の雨が嘘のように、翌日の天気は快晴
まぶたを焼いてしまいそうなほどの朝陽に、目が覚めた
時計を見ると、7時半
もう起きて準備をしないと会社に遅れてしまう
本当はまだ眠っていたい
その理由は俺の左腕を抱きしめながら
眠っている『ペット』のせいだ
あんなに夜中に鳴いていたせいで目元が赤く腫れているけど、俺の事を抱きしめて寝ている姿にときめかないわけがない
見ているだけで、寝ている『ペット』に悪戯したいと野心が湧いてくるが
「今は我慢するか…」
『ペット』とこれから先、何不自由なく生活するためにはお金が必要になる
こいつのためならどんな苦労だって厭わない
名残惜しいが起き上がり、コーヒーメーカーにスイッチを入れ、その間に着替えをすます
コーヒーを一杯飲み、まだ眠っている
『ペット』に軽くキスをして
俺の一日は始まった
俺はどこにでもある、ごく普通の会社で働いている
学生時代からとくに将来の夢なんて無く
周りに流されるように生きてきた
自分の席に着き、パソコンを起動させる
受信されていたメールに目を通し
必要なものだけ返信していると
斜め前の空席だった机の上に積まれているダンボールに気がついた
同期で、隣の席の南九条に聞いてみると
「ほら、2、3日前に面接に来ていた子が居たやろ?その子が明日から出てくるからその準備」
彼の声のトーンから明日から来る子は
女性だろ
話しかけたのは俺だが、彼の話がどうでも良くなり、適当に相槌を打ちながらパソコンに視線を戻したが
「それにしても久世の奴、一体どうしたんやろ?
あんなクソ真面目な人が無断欠席するとか…ほんでな、部長が言ってたんやけど
久世の携帯や家に何回も電話してるけど全く出やんくてさあ…」
彼の口から『ペット』の名前が出て
思わずキーボードを叩いていた指が止まった
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